『MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE Surf & Breeze 高中正義/ANRI』WOWOWライブレビュー!

夏と潮風のサウンドトラック:シティポップの最高峰が交差した至高の一夜

日本のサマー・ミュージック/シティポップの金字塔であるANRIと、日本を代表するギタリスト・高中正義。タイトル通り「Surf & Breeze」を体現する豪華な2組によるスペシャルライブは、極上のリゾート感と圧巻のサウンドパフォーマンスに包まれる一夜となった。

2026年9月21日からWOWOWで放送されているWOWOWの約1時間35分バージョンをレビューしていきます。

1. ANRI:風を呼び込む鮮烈なオープニング

オープニングを飾るのは「WINDY SUMMER」。ご存じ『Timely!!』のA面1曲目、角松敏生が作詞・作曲・編曲を手掛けたCity Popの大名曲。その疾走感あふれるイントロが鳴り響いた瞬間、会場の空気は一気に真夏の海岸線へと塗り替えられる。爽快なカッティングギターと、Kenny Mosleyと斎藤ノブの洗練されたリズムセクションが見事に融合。グルーヴが凄い。ANRIが手を振りながら登場!「元気~!!」。彼女の伸びやかで透明感のある歌声は観客を一気に引き込んだ。間奏の鈴木明男さんのサックスソロの色気が本当に素敵です。

2曲目は「Last Summer Whisper」風を受けながらそよぐミントグリーンのエアリーなロングワンピースと麦藁のテンガロンハットが相まって涼しげな夏の終わりを感じさせます。メロウなキーボードの音色とアンニュイで透き通るようなボーカルが、余韻と寂しさを美しく際立たせます。

そしてノリノリの3曲目「悲しみがとまらない」。マイナーコードを基調としながらも洗練されたCity Popサウンドと、切ないメロディラインの融合が当時の歌謡曲シーンに新鮮な衝撃を与え、ANRIの代表曲の一つとなりました。ご存じの通り只今世界中でバズっています。今年5月のニューヨーク単独ライブでの大合唱は鳥肌物です。

4曲目は「SHYNESS BOY」。1984年に日清食品「カップヌードル」の夏キャンペーンCMソング。ANRIの夏&アーバンポップスのイメージを決定づけたヒット曲です。

5曲目は日本歌謡曲史上屈指の名曲「オリビアを聴きながら」。1978年当時高校2年生だったANRIのために、尾崎亜美が書き下ろした、彼女のライブには欠かせない最重要曲。

残念ながらANRIはここまで。フル尺で観たかった。当時と比べても遜色のないクオリティーのコンサート。とても素敵でした。

2. 高中正義:ラテンフュージョンとトロピカルサウンドの神髄

鳴り響く手拍子からの高中コール。赤いスーツに黒の蝶タイにウェリントンのサングラス。54年ストラトを抱えて登場!
一曲目は世界的にも大人気の「Brazilian Skies」。1978年、リオデジャネイロでレコーディング。TAKANAKAのトロピカルなサマー・フュージョン路線を切り拓く決定打となった名曲。そしてコーラスはアマゾンズ。今回もお二人体制。

2曲目は「トーキョー レギー」。レゲエのリズムを取り入れ、高中特有のメロウなギターメロディと洗練された都会的センスが融合した、先駆的なトラック。海外のライブでは日本語での大合唱が起こる大人気曲。この高中のヴォコーダーボーカルが大好きです。

3曲目は「SHAKE IT」。ギターは、SG KARUIZAWA 紅葉。キレッキレのピッキング。今回のライブ、特に音がいいです。そしてバンメン全員仕上がってます。ロンドン公演前でリハ真っただ中だったのでしょか?

4曲目は「渚・モデラート」。終盤弾きまくり。ピッキングハーモニクスが気持ちいい。タッピングの最後のチョーキングがエモい。

5曲目「Saudade」。アルバム『SAUDADE』は、インストゥルメンタル/フュージョン系のアルバムとしては日本初となるオリコンチャート1位(1982年)を獲得した歴史的快挙の一作。そのアルバムタイトル曲。世代的には北大路欣也さんが出演していた、ファミリアのCMを思い出します。それも含めてエモいです。

6曲目「FINGER DANCING」。1981年の『POWER PLAY ’81』ツアーで、登場曲として演奏されたのを生で観たことを思い出します。その時のギターは54年ストラトでした。

7曲目「Taj Mahal」。1979年の代表的名盤『JOLLY JIVE』に収録されているラテン・サンバ・フュージョンの名曲。ジョルジュ・ベンの名曲を高中流の洗練されたギター・フュージョンへと昇華させたカバー・トラックです。

8曲目。1981年の名盤『虹伝説』に収録されている不朽の名曲『THUNDER STORM(サンダー・ストーム)』。ギターは、EDWARDSのKARMASTER 黒。この曲で思い出すのは、武道館での虹伝説ライブでゴブリンのマスクとマント、黄色のジャンプスーツにレインボーSG1000で演奏でした。当時のドラムは今回同様で宮崎まさひろさん。ベースは田中章弘さんでした。かっこよかった。今回はレジェンドベーシスト岡沢章さん。もちろん今回も凄いです。いつまでもお元気で高中バンドを支えてほしい。

9曲目「READY TO FLY」。私的には1977年のサディスティックス版が強烈なイメージです。高橋幸宏、後藤次利、今井裕 版。『SEYCHELLES』版のドラムは林立夫さん。そして今回の宮崎さん。日本のレジェンドドラマーの方々を聴き比べれるのも醍醐味です。井上薫さんとのKX5との絡みも最高でした。

MCでは「ぼくたちはまだ夢が終わってなくて、楽しいロンドンに行ってきます。」いや~かっこいいです。「愉快なロンドン…(笑)」何人が分かったかな?

10曲目「YOU CAN NEVER COME TO THIS PLACE」。アルバム「虹伝説」のエンディング曲。「悪魔の敗北」と「自然の厳かで神聖な勝利」をテーマにした重厚で壮大なハイライト曲。何回聞いたことか、フェイドアウトするところまで全て口ずさめます。
今年4月に行われたロンドン公演でのこの曲のパフォーマンスをご覧になられましたでしょうか。客席ではZ世代の若いファンたちが感涙にむせび、その光景を目にして私自身も胸が熱くなりました。音楽には国境も、年齢も、性別も関係ない——。まさにその事実を、言葉を超えた圧巻の演奏で見事に体現してくれた瞬間でした。

そしてアンコール11曲目。「Jumping Take Off」。ギターはもちろん、赤いサーフボード・ギター。キャッチーなメロディにポップネス溢れる人気曲。アンコールにふさわしい「今、ここから飛翔する」ような勢いに満ちています。

オーラス12曲目はもちろん「BLUE LAGOON」。ギターはEDWARDSのVIPER 青 。生涯で一番聴いた曲。残念ながら未だに完コピできない。今回の様な『JOLLY JIVE』版に忠実なアレンジが好きです。

ライブ全体をとおして音が良く完成度が高いと感じました。どこまでも開放的でダンサブルなフュージョンサウンド、大人のコンサートを見せてくれました。

総括:タイムレスな「夏」を聴く贅沢

それぞれの代表曲が惜しげもなく披露され、両者が積み上げてきた音楽性の高さを再確認できるステージ。
80年代のCity Pop / Tropical Fusionのテイストを現代の音で爽快に体感させてくれる、まさに大人のための極上なサマー・コンサートとなったと思います。

今回、世界的な再評価と海外公演の大成功によって改めて脚光を浴びたお二人が、MAJの舞台で凱旋スペシャルライブを行うことは、アワードの趣旨からしても至極当然のことと言えます。むしろ、それだけでは足りないくらいです。何しろMAJの最大コンセプトは「日本からアジア、そして世界へ」。言葉通り世界を魅了してきたお二人だからこそ、本来なら授賞式の本編でも、一曲ずつその圧倒的なパフォーマンスを観たかったというのが本音です。

まだまだ世界に知られていない、J-POP/シティーポップがもっともっと世界に出て行ってほしい。そして後進のミュージシャン、日本の音楽の為に、ベテランのミュージシャンの方々はこのお二人の様に積極的に海外に行き、どうか道を開きその礎になってほしい。
まずはロンドンのCity Pop Wavesで大成功した八神純子さんお願いします。そして、TUBEの皆さんも是非積極的に海外進出してください。海外ですごい人気ですよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました