デビュー曲『Time is money』で強烈なインパクトを残し、一気に時代のアイコンへと駆け上がったTAKARA。そんなTAKARAチームが次に仕掛けたのは、前作の攻めたダンサブルな雰囲気から一転、チルでエモーショナルな楽曲『明るい夢』です。
「普通な感覚」を大切にしながらも、それぞれの個性が溶け合い唯一無二の存在感を放つKOKONAとASHA。等身大で肩肘を張らずに現代のモヤモヤをそのまま歌にしてくれるからこそ、現実の迷路の中にいるリスナーを救ってくれます。
KOKONAが昨年10月に「明るい夢が見たかった」という思いから何気なく書いたリリックをきっかけに、絞り出された二人の本音。「自分事として刺さりすぎる」と、現在多くのリスナーの間で大きな反響を呼んでいます。
『Time is money』からの振り幅!エモすぎるギャップと平成レトロ感
バチバチなHIPHOP路線を予想していたファンを良い意味で裏切り、平成レトロなビジュアルとミドルテンポのR&Bで提示されたのは、甘美で儚い二人の内なる世界。2人の声質が織りなすハーモニーはどこか懐かしく、平成感漂う空気に満ち、令和ギャルのリアルな人間味が、聴く人の感情を深く揺さぶります。
「明るい夢見たい」に込められたリアルな本音
タイトルやサビで繰り返される「明るい夢見たい」というフレーズには、「夢を見たい」という憧れと「まるで夢のようだ」という感覚が交錯するダブルミーニングが込められているのかもしれません。
今の日常を抜け出し、眩しい世界へと飛び込むことを願っていた二人。努力の末に掴んだ今の幸せだからこそ、「もしかしてこれ、全部夢なんじゃないか?」という切なさと不安が常に背中合わせに存在します。
だからこそ「ここに何も無い」というフレーズから漂う浮遊感に、複雑な胸中と厳しい現実を経験してきた二人のバックグラウンドが痛いほど伝わってきます。
「なんとかする」「なんとかなる」「なんとかなんないかな」という強気と弱気が交錯する感情。そんな日常の鬱屈にそっと寄り添ってくれる、説教くささのないリアルな救いと本心が、深く心に響くのです。
MONJOEが手掛けるトラックと洗練された世界観
冒頭はどこか懐かしさのあるギターアルペジオから始まります。ヒップホップビートが、倍音をたっぷり含んだASHAの歌声と溶け合い、冒頭からたまらなく心地よいフローを生み出します。そこへKOKONAのコーラスが包み込むように薄く重なっていく展開が非常に美しいポイントです。ASHAのメインボーカルを後ろから支えるKOKONAのコーラスが入ることで、曲の奥行きが一気に広がっていきます。
サビ後半から2番にかけては主客がKOKONAに入れ替わり、2人の対等な存在感や掛け合いの妙が際立ちます。
そして曲調が旋回し、ビートに乗ったグルーヴが解き放たれます。この内省的な静けさから本音の吐露へと鮮やかに切り替わる視点の転換が、走り出すドラムと相まって、切ない余韻を残したまま一気に駆け抜けるようなグルーヴへと昇華されます。
後半では、KOKONAのボーカルにASHAがフェイクやハモりを伸びやかに重ねることで、楽曲の感情の高まりを一層引き立てる気持ちのいい展開を見せてくれます。
終盤、どこか宇多田ヒカルの『One Last Kiss』やHANAの『Blue Jeans』を彷彿とさせる、2ステップ/ギャラージ特有の疾走感のある切ないメロディ。それに対してビートだけが軽快に前に進むこのギャップが、胸をギュッと締め付けるようなエモさを生み出しています。
これが最先端。さりげないビジュアルのかっこよさ。
さらにプロデュースの凄みを感じさせるのは、MVのクオリティが超絶エモい点です!時流を読んだまさにY2K戦略。上の世代が見ても、現役世代が見てもエモさを感じるディテールの数々が散りばめられています。
ダサかっこいい「外し」の要素が存分に活かされており、オーディエンスは自然と画面に引き込まれます。たとえばASHAの自動車スリッパやKOKONAの恐竜スリッパは、上の世代には懐かしく、現役世代にはキャッチーで可愛い。観たら思わずドンキに買いに行きたくなること間違いなしです。
一方、メインビジュアルのスナップに登場するのは、2000年代初期に大流行したヒョウ柄と虎柄をまとってMVのモノクローム画面で流れるように歌い踊る二人。その世界観はまるで「墨絵」のようで、見る側のイメージに和のテイストが浸透してきます。
ASHAはストリートパンク(丈短レザージャケットにローライズのワイドクラッシュデニム、スタッズベルトとプラットフォームブーツ)。KOKONAはUKパンク(タータンチェックパンツをデカワークブーツにイン、ジャラジャラのチェーンポーチや大量缶バッジ付きのデコラティブなビーニー)。
それら全体がモノクロの画面の中では、まるで筆が躍動する墨絵のように見えます。
これはまさにTAKARAのロゴデザインそのものであり、マイクのケーブルまでもが「筆のはね」を意識しているかのような、細部まで計算し尽くされたアートワークが最高に美しいです。
BMSGフェス2026への出演も決定し、これからさらに大きなステージへと羽ばたいていく2人。
2年前、迷路に迷い込んだ「キキとディジー」は、今「豹と虎」となって帰ってきました。
いつか振り返ったときに「あの時、明るい夢を見せてくれて本当にありがとう」と言える未来を、彼女たちは確実に予感させてくれています。


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